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つゆかわはじめ
つゆかわはじめ
novelistID. 29805
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CHARLIE'S 23

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元来、猟犬で強靭な太腿とスリムな体型が売りだが、ペスカトーレは大ボスの飼い犬という自惚れから放蕩三昧が祟り、その精悍な姿は、今は無い。

親の七光り。
つまり、ニューヨーク・マフィアの大ボス、ラッキー・ルチアーノのお陰でマンハッタンの彼方此方に手下を持っている。
見てくれはどうであれ、犬界の大ボスであることには違いない。

「コンコン」・・・・分厚いドアがノックされた。
グレイハウンドのペスカトーレが首をもたげた。小さく唸ったが、直ぐに頭を下げた。

「入れ・・・」

ガチャリ・・・・渋い金属音がして、ドアがゆっくりと開く。
手下のジェイク。
太いストライプ柄のダブルスーツで身を固めていた。靴はアイボリーとブラックのコンビ。伊達男を気取ってはいるが、左の頬に10センチ程の深い傷跡がある。そのせいで笑うと顔が引き攣る。目を合わせるのも怖い顔をしていた。

「ボス・・・街の連中が物乞いに来て、収拾がつきませんぜ」
「金をくれてやれ・・・飢えない程度にな」
「そんな事したら、キリがありませんぜ」
「ジェイク・・・お前、ここに来た時の事を忘れたのか?・・・ポケットに何ドル入っていた?・・・えっ!忘れたか?」
「・・・いや。忘れたりしません・・・クゥオーター一枚きりでした。25セントです」
「ジェイク・・・今、幾ら持っている?」
「・・・はい・・・えっと・・・80ドルとちょっと」
「ばら撒いて来い」
「えっ!・・・俺の金を・・・ですか?」
「お前の為だ・・・・ばら撒いて来い」
「そんな、殺生な・・・」
「ジェイク・・・俺に楯をつくつもりか?」
「滅相もありません・・・分かりました・・・ばら撒いてきます」
「早く行け・・・それから、今夜はコットンクラブに行くぞ。車を用意しておけ」
「へい。ボス!」
ジェイクはクシャクシャのドル札を何度も数えながら、肩を落として出て行った。
暫くすると、表の歓声が微かに聞こえた。

「さて・・・ペスカトーレ。庭でも散歩しよう。表は物騒だ・・・」

ペスカトーレは脂肪が付いた体をゆっくり起こすと、シッポを下げぎみに振りながら、ルチアーノの後についていった。
作品名:CHARLIE'S 23 作家名:つゆかわはじめ