CHARLIE'S 23
第8章・コリアの裏ボス
チャーリーJr.とハチベェはセントラルパークの地下道をカチャカチャ・・・と小さく爪音を立てながら南へ向かっていた。ルイスとラムに教えられた地下道だ。
「ニューヨークには長く棲んでいるけど、セントラルパークの下にこんな地下道があったなんて知りませんでしたよ」
「俺も知らなかった・・・ルイス達が最近見つけたらしい、ハチベェ・・・あの階段を上がったら75丁目だ」
「で・・・何処へ?」
「34丁目に行く・・・そこで、コリアのボス犬と会う」
「何て言う名前ですか?」
「トラジー・ボスだ・・・普段は流れてきた犬たちの世話役をやっているらしいが・・・仲間を増やして組織にしようとしているらしい。それで、時々、マフィア犬に痛めつけられているそうだ」
「コリアはまだ数が少ないですからね・・・チャイナの半分もいないでしょう。クイーンズ地区は反対にコリアが多いけど・・・」
二匹は表通りに出ると、8番街を一気に南下した。目的地まで約40ブロック・・・相当な距離になる。ビルの合間を、風を切って走る。小さな二つの影は、満月が作り出したビルの影と同化しては現れ、そして、また吸い込まれていった。
「ハッ・・・ハッ・・・ハッ・・・あと2ブロックだ」
「フッ・・・フッ・・・フッ・・・あと2ブロック」
前方に犬集(いぬだか)りが見える。揉み合っている様にも見えた。近づくとそれが犬同士の戦いだと判った。更に近づくと、グループが分かった。マフィア犬とコリア犬だ。10匹位の塊で激しく諍いをしている。マフィア犬とコリアの違いは一目瞭然。純潔かミックスかの違いだ。7対3でマフィア犬の数が圧倒していた。
「ハッ、ハッ・・・ハチベェ・・・喧嘩には自信があるか?」
「へへ・・・指一本。いや、鼻先すら触らせませんよ」
「ハッ、ハッ・・・良し!・・・蹴散らすぞ!」
「よっしゃ〜〜〜!」
二匹は、揉み合う塊に突進した。
作品名:CHARLIE'S 23 作家名:つゆかわはじめ