CHARLIE'S 23
アマデウス・コンスタンはヨーロッパから流れて来たピアニストで、抜群のピアノテクニックを持っていた。細くて長い、繊細な指の持ち主だ。
アマデウスの足元には小柄なーグルが大人しく伏せている。
チャーリーJr.達を見ると、尻尾を振って挨拶した。
既に顔見知りで、名前をクッキーと言った。
テーブル席には、派手なドレスで身を纏ったオフ・ブロードウェイ、シアター・リナのオーナー・・・リナ・ノババ。
その横には、流行のスーツで身を固めた、パーク・アヴェニューにあるレストラン・アイリスのママ・・・アイリス・ジョーンズ。
そして、ここハーレムで知らない者は無いというブードゥー教の霊媒師・・・AJ。
霊媒師AJだけがシーズ犬を抱いていた。服装は・・・ブードゥーの儀式に着るのだろう、赤・緑・イエロー・・・リナ・ノババのドレスと色彩が似ていた。
それぞれに密造酒が振舞われている。
デュークは順番に愛情のこもったハグを交わすと、背中をスゥイングさせながらステージに上がった。
チュチが臨時の照明係りを勤めている。チャーリーJr.達はチュチの横に行儀よくオスワリをした。
霊媒師AJの真後ろだ。自然と、AJに抱かれたシーズと目が合った。
チャーリーJr.がウインクすると、慌てたようにプイッと正面を見た。
「パパ・・・フラれちゃったみたいだね」
「ハハ・・・勘違いされたみたいだな」
「どうして?」
「目に・・・ゴミが入ったんだ」
「それ、マジ?」
「ああ・・・マジさ」
「だよね・・・パパはやっぱりビーグルだよね」
「まぁな・・・ルイス、そろそろ始まるぞ」
「うん・・・・ラムは寝ちゃったけど・・・起こした方が良い?」
「ハハ・・・寝かせておこう。音が出たら飛び起きるさ」
「だよね・・・」
作品名:CHARLIE'S 23 作家名:つゆかわはじめ