CHARLIE'S 23
大きなシアターが立ち並ぶブロードウェイの直ぐ裏にシアター・リナはあった。
ダンスがウリの小劇場だ。
オーナーのリナは嗜好を凝らしたショウを企画することで、界隈では有名だった。
オフで有名になるとオン(ブロードウェイ)への扉が開く。
後世、有名になったミュージカル、コーラスラインも、元は此処、オフ・ブロードウェイからの出世作である。
オンボロ・フォードがシアター・リナの前に止まると、派手な衣装姿の美女が、大きな身振り手振りで現れた。まるでアフリカの民族衣装のようだ。
「ハーイ!・・・デューク〜〜ハーレムの帝王〜〜いらっしゃ〜い」
「ハッハッハ・・・リ〜ナ、調子が良さそうだね」
「ええ、もう、企画が当たっちゃってさぁ〜幸せって・・・感じ〜」
「そりゃ、良かった・・・はい、お土産だよ」
「まぁ!素敵な薔薇〜あ〜ん、どうしましょう・・・天下のデューク様からお土産を頂くなんて、なんて光栄なことかしら」
「それから、アイリスのロースとビーフだ」
「んまぁ!・・・素敵!・・・ありがとう、デューク!」
「チャーリーJr.も一緒だけど・・・良いかね」
「もちろんよ〜私が犬好きだって知っているでしょう?丁度よかったわ、うちの天才ワンちゃん達を紹介するわ〜。さぁ、夢の劇場へ・・・どうぞ〜〜」
開演前のシアターは薄暗く、スポットが当てられたステージだけが浮き上がっている。
リハーサル中なのか、そこには、二匹のロングコート・チワワが立っていた。サーカスの動物が着るようなフリフリの衣装を纏っている。
「うちのアヅキとペコよ〜可愛いダンスを踊るんだからぁ〜。前座をやらせているんだけど、もう最高なの!うけちゃって、うけちゃって〜〜チケット、完売よ〜」
「ほう、オフでチケット完売とは奇跡に近いね」
「でっしょ〜〜・・・あ、始まるわ〜・・・」
照明の色が七色に変わる。二匹のロングコート・チワワが腰を愛らしく振りながら流れる音楽に合わせて踊り出した。
作品名:CHARLIE'S 23 作家名:つゆかわはじめ