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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「夢の中へ」 第二話

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「藤次郎か・・・そちらの人は嫁御か?」

「庄屋様、違います。私と同じように彷徨っていたところを助けたんです」

「そうか、お前も立派な男に成長したな、感心じゃ。して今日は何用じゃ?」

「ええ、しし肉が捕れましたのでお持ちしました。いつものように米と交換してくださいませんか?それに・・・できればこのまどかに湯浴みをさせていただけたら嬉しいのですが」

「まどかさんとやら、遠慮はいらんぞ。藤次郎は息子のようなものじゃから、頼まれたら断れん。奥の者に言いつけておくから、用意が出来たら入りなされ。藤次郎も一緒にどうじゃ?」

「えっ?そのような事は・・・出来ません」

「ハハハ・・・冗談じゃ。真面目に答えるようじゃ、ほの字じゃな・・・図星じゃろう?」

藤次郎は初めてまどかの前で真っ赤な顔を見せた。
まどかは自分も真っ赤になっていた。庄屋の主は、二人が惚れあっている事を見抜いていた。

「ゆっくりとして帰るがいいぞ。なんなら泊まってゆけ。夜道は歩きにくいからのう」

「本当でございますか?」

「ああ、ほんとうじゃ。夕飯の支度もさせるよってにそうするが良いぞ」

「まどか、良かったな・・・礼を申し上げろ」

「はい、お心遣いありがとうございます」

「いい子じゃ。藤次郎、わしが取り持ってやる。祝言を致せ」

「なんと言うことを言われます!まどかはそのような事承知いたしません」

「直ぐにと言っておるわけではない。近いうちにそうせよと申しておるのじゃ。なあ、まどかさんどうじゃろうか?」

「・・・祝言とは、結婚をするということですか?」

「結婚?嫁に行くということじゃな」

「藤次郎さんには感謝しております。今の私は独りでは生きてゆけませんので、藤次郎さんが望まれるなら・・・そうします」