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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「夢の中へ」 第一話

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平成12年四月、約束の時間に確かに両親と弟は物音に目を覚ますことなく熟睡しているようだった。
玄関の鍵を開けてまだ肌寒い気温の中を学校のジャージとカーディガン姿で家を出て、真っ暗な中を1キロほど坂を下ったところにある仙人塚に向かって歩いた。

武将は夢に見たままの姿でそこに立っていた。一瞬びくっとしてまどかは立ち止まった。

「恐れるでない。近くに来い」

ゆっくりと近づいた。

武将はまどかをさっと抱きかかえると、

「御免!」と言い放って、あっという間に天に昇っていった。それは一瞬の出来事だった。

「きゃあ~」と短い叫びを残しながら仙人塚は何事もなかったように真っ暗に戻っていた。


どこだろう、少しくさい臭いがする場所でまどかは目覚めた。
着ていたジャージは脱がされ綿で出来た粗末な着物を着せられていた。
もちろん下着も穿いていなかった。

周りを見渡す・・・見たことのない場所に感じた。ゆっくりと立ち上がって日が差している扉の方に歩き引き戸を開けた。

カーンと木が割れるような音が聞こえる。周りは森に囲まれていた。
まどかを見つけた一人の男が目を合わせてにこっと微笑んだ。