私の好きな歴史の中の悪女たち~東流・古今東西おんな談義~
彼女が他人を陥れたり、そのために画策したとか呪詛したという話はあまり
聞きません。その点が大きくちがってていのではないでしょうか。
とはいえ、ヒビンは王妃から降格されてしまいましたが、それでもヒンという
王妃に準ずる側室としては最高位の位階にとどまっています。一方、
ユン氏は降格どころか、廃されてしまい、妃としての位階は剥奪されたまま
です。
このユン氏の生涯を描いたのが名作王と私です。
ユン氏が少女時代、まだ即位する前であった王様と出会うところから始まり、
毒杯を賜って死ぬ辺りまでを描いています。
【ブログでは、ここに参考映像図あり】
☆左側がオ・マンソク演じる内官チョソン。真ん中がコ・ジュンウォン
演じる王様。右手がク・ヘソンのユン氏です。
私はこのドラマでコ・ジュンウォンさんを知りました。こんなイケメンの王様を
主人公の女の子の相手役にして書きたい! と思ったのも大きいです。
またク・ヘソンの雰囲気は今、見ている王女の男に出てくる主役の女の子に
似ているような気がします。☆
このドラマでは、今でも悪女と伝えられているユン氏を真反対から見た描き方
をしており、実は数々陰謀によって陥れられ、結果として悪女の汚名を着せられ
たという設定です。
現実として、ユン氏か悪女ではなかったという陰謀説もあるらしいですが、
これは歴史の中では、あくまでも定説てはなく傍説として語られているに
すぎいようです。
このドラマではユン氏だけではなく、彼女を一途に慕い続けた内官(宦官)
チョソンもまた、もう一人の主役として登場します。
番組の終わりに、チョソンと先輩の宦官が二人で話しているシーンがあります。
後世の人はお妃さま-ユン氏ーを悪女だというだろう。
だが、お妃さまと同じ時代に生きた私たちは、お妃さまが陥れられて
悪女に仕立て上げられたのだと知っている。私たちだけが真実を
知っているんだ。そして、歴史というのは、そういうものなんだ。
それはそれで良いではないか
王と私は悪女と今伝えられている女性を前向きで誠実に生きようとした女性
ー真逆から捉えた作品でした。彼女に対する制作者の共感と哀惜が感じられ
る傑作だったと思います。
また、歴史というものについての定義というか、とらえ方も大変よく現れていました。
私がまだ韓国時代劇を見始めてまもない頃だったというのもありますが、
これも以前ご紹介したドラマ妖婦 チャン・ヒビンとともに
その後の私に大きな影響を与えてくれたドラマでした。
私が韓流小説を書いてみたい思う直接のきっかけとなり、また、歴史観にも
少なくない影響を受けた名作です。
確か、韓流時代劇を見始めて、チャン・ヒビンと王と私が最初と二番目くらいに
見たものではないかと記憶しています。
歴史はそれ自体が壮大なドラマです。
まてや、表に出ていない、今に語り継がれていない裏側にも
興味深い事実や出来事はたくさんあると思います。
それをどんな形で再生し、息吹を吹き込んで新たな物語として今の
-後世に生きる人たちに伝えるかというのが歴史を取り扱った
作品(ドラマ・小説あらゆるものを含めた)の役割ではないかと考えます。
私の最新作は架空の物語ではあるけれど、そういう正史には語らられなかった
真実を語るという形で話が進んでいく予定です。
王と私を見てから三年になりますが、いまだにあの作品は私に大きな
影響を与え続けているのだなと、最近になって改めて感じた次第です。
作品名:私の好きな歴史の中の悪女たち~東流・古今東西おんな談義~ 作家名:東 めぐみ