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なつきすい
なつきすい
novelistID. 23066
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カフェ・サニーディサンデー

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 街灯の少ない道を歩きながら、思わずそんな言葉が口から転がり出た。羨望の対象は今頃無事に辿りつけていればビジネスホテルかどこかに避難しているはずの常連のあの男だ。無論、あんな危なっかしい恋をしたいわけではない。けれど、どれだけろくでもない目に遭おうとも、失敗も災いも恐れずにただただ前だけを見て突き進むあの無鉄砲なまでの勇気と思い切りの良さが自分にもあれば、と思うこともあるのだ、こんな夜には。


 土砂降りの雨の降る、八月六日の日曜日。朝の九時半。
「おはようございますマスター、七日振りでーす!」
 玄関を開けて、ひなたが入ってくる。手に抱えているのは米袋だ。自宅からここまでは一キロぐらいはあるはずなのだが、五キロの米袋程度なら彼女にとっては大して重たいものでもない。
「おはようひなたちゃん。随分日焼けしたね?」
「そうなんですよ。テスト終わったから昨日までちょっと実家帰ってたんですが、毎日日が暮れるまで思いっきり家業手伝わされちゃって。あ、これ実家のです」
 裏に置いときますねーと言って、ひなたはそれを本か何かの如く軽々と小脇に抱えてバックヤードへと向かっていく。その背中に、ふと思い出してマスターは声をかけた。
「そうだ、十二日から十八日までお盆休み取るから、来週はお休みね」
「あ、了解でーす」
 はきはきと返事をしながらも、ひなたの心は僅かに沈んだ。そうか、十四日間も会えないのか。長いなぁ、と。
「そしたら、十三日はお休みって張り紙しておきますね」
 折角の日曜日だのに、雨だというのもまた彼女の気持ちを沈ませそうになったけれど、それを振り払う。当分会えなくなるが、今日は会えるのだ。それに、バイトとはいえ接客業の人間が、そんな感情を表に出すわけには行かない。手を洗い、エプロンを締めて、鏡の前でにっこりと笑ってみせる。週に一度しか会えない片想いの彼と、お客さんの前では、笑顔でいたいのだ。
(きっと、そう思ってるのは、あたしだけじゃないし)
 だからこそ、今日も頑張ろうと、ひなたは自分に気合を入れた。
 ここはカフェ・サニーディサンデー。
 日曜日にしか営業しない、日曜日しか存在しないカフェ。