私の隣のあなた
――今。
あなたと暮し始めて二年と五ヶ月。私の毎日はとても楽しい。
あの時から白紙のままの婚姻届はクリアーファイルに挿まれたまま、リビングのボードの引き出しに入れられている。そこにあるということがふたりの……世間的に効力を持たない……強い契りのように……。
楽しいことがあると、好きな飲み物を片手にずっと話した。
哀しいことがあると、そっと傍に居てくれた。
寂しいことなどない。
気持ちのままに肌を合わせ、お互いを身近に感じる。そこには使命感も義務感もない。
体調が良くない時は、気にかけてくれた。
こういう幸せもあるのだと思えた。もともとの他人が愛情を持てるのは、こういう自然な中にあるのかもしれない。だからといって私は結婚をしたことも夫と過ごしたことも後悔はしていない。まったく都合のいい事を言っているに過ぎない。自分勝手。自己中……。
飽きたら止める。そこまで適当ではない。今の生活だって結婚と同じように過ごしているのだから。