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私の隣のあなた

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 あなたと私。
 結婚と離婚を経験したふたりが出会い、恋をした。ずっと傍に居たいと感じた。
もうそれは、恋を楽しむよりも深い愛情へと変わっていたのかもしれない。
「一緒にいたいね」どちらからともなくそんな言葉が口をついて出た。異存はなかった。
 ある日、あなたが婚姻届の用紙を持ってきた。というか私の部屋のテーブルの上に置いて帰って行った。
嬉しいはずの私だったが、その紙に触れた手は戸惑っていた。
 
 もう二度とあんな思いをしたくない。元の夫がDVであったわけでも浮気をしたわけでもない。もちろんその逆もない。
だけど、どうしても一緒に居られない。落ち着かない。体がだるくなる。やがて触れられたくないところまで感情は進行してしまっていた。もうこれは、夫婦として成り立たないだろうと判断した。思い込みではいけないと両親にも相談した。
 経済的にも別れるべきではないという意見もあったが、精神の正常が大切と夫以外は合意した。
納得できないと最後まで言っていた夫は、夫の両親に説得されてからはすんなりと手続きを進めてくれた。
 果たして何と言われたのだろう。私の悪口でも何でもいい。離婚に合意することが全てだったのだから。

 こうして私は独り身になったというのに目の前の紙にすんなりペンを入れることなど考えられない。
だけどこの気持ちは、誰の意見にも譲れない、本物だと信じている。
作品名:私の隣のあなた 作家名:甜茶