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最後の魔法使い 第七章 『覚悟』

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「いえ、家は空です。どうやら逃げられたようです。」兵士が答えた。そして、あわてて弁明するように続けた。「ですが、それほど遠くに入っていないはずです。やつはドラゴンを持っていないし、私が知る限り魔法使いは我々のように速く移動する術を知りませんから。」
「なら、とっとと探し出せ!私の顔に泥を塗る気か!」将軍がどなった。「畜生、どこに居やがる、魔法使いめ!出て来い!」
 将軍は特別大きな炎の玉を、家の周りに投げつけた。それは攻撃というよりは当てつけのように見えた。どちらにしろ、あっという間に火は周りの木々に燃え広がった。将軍の気迫に驚いた歩兵は、そそくさと仲間たちのもとにもどり命令を言い渡した。
 兵士たちの動向を見ていたジュダは、アレンの方を向いて、小声で言った。「アレン、私たちのことはいいから、君は逃げなさい。今なら多少大きな音を立てても向こうは気がつかないだろうから。」
 ディディーが、ジュダの言葉に賛同するようにうなずいた。確かに、兵士たちは火をつけるのに夢中だった。将軍の魔法使い捕獲にかける思いとは裏腹に、兵士たちは実戦で火の魔法を使う機会が得られたことの方を喜んでいるようだった。
「でも…。」アレンは口ごもった。
「いいから、早くするんだ!」ジュダが荷物入れをアレンに押し付け、早く行くようにと手で合図をした。