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最後の魔法使い 第七章 『覚悟』

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「防御魔法をかけてきたから、ある程度は大丈夫なはずだ。」アレンの心配そうな顔を見て、ジュダが開口一番に言った。「もっとも、家が燃えないでくれると助かるけどね。」ジュダはアレンに荷物入れを手渡すと、ひそひそ声で続けた。「さっき話したばかりで、まだ決心はついていないと思うが…。」
 アレンは正直にうなずいた。どちらの選択肢も同じくらい恐ろしかった。
「できることなら、君には自分の道を決めてからここを去ってほしかった。行くべき場所が分かってから…でも、そんな悠長なことを言っている場合じゃないようだ。」ジュダが言った。
「俺、どうしたら…」アレンは絞り出すようにつぶやいた。
「言っただろう。魔法を捨てるか、一生逃げ続けるかだ。だが、どちらにしても、最初に君のするべきことは『魔法使いの書』を見つけることだ。この国のどこかに、きっとそれはある。君が知らなくてはならないことも、その中に書いてあるはずだ。『書』も君が来るのを待っているんだ。」
「でも、どうやって探せばいいんですか、形もなにもわからないのに?」
「ルアーンの伝言によれば、『書』は、ありかを君に示すはずだ。…君にしか使えない魔法があるのも、きっとそのせいだと私は思う。心当たりはないかい?」
 アレンは考えてみた。確かに、アレンにだけ使える魔法―数日前にも使った、植物と会話する魔法や、そのほかにもアレンが小さいころから知っている呪文などのことだろうとアレンは思った。長い間、アレンはなぜそれらの魔法を使うことができたのか疑問だったが、『魔法使いだから』と言われてみれば、合点がいった。すべては、18年間聞いたことのなかった『魔法使いの書』のためだったのか?

「しっ!」茂みの外を見張っていたディディーが言った。
「来たか?」ジュダが小声で聞いた。
ディディーは何も言わずに、ただ首をゆっくりと縦に振った。