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最後の魔法使い 第七章 『覚悟』

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第七章 覚悟

 ディディーの言葉を聞いて、ジュダは急いで奥の書斎へかけて行った。ディディーにせかされ、アレンはマントとノートを持って家の外に出るのが精いっぱいだった。外に出ると、政府軍が街を攻撃する音だけがはっきりと聞こえた。キースは?彼の家族は?アレンは不安になって、できるだけ街の方が見えるように目を凝らした。ロウアーサウスの街の方の空は赤くなっていて、時折、熱風がアレンの頬をかすめた。政府軍は着実にアレンのいる方へ向かっているようだ。アレンの脳裏に、変わり果てた故郷の姿が浮かんだ。自責の念に駆られた。それだけしか考えられなかった。
 俺のせいだ。俺のせいで、ウェストも、サウスも…。
 街の方を向いて立ちつくすアレンに、ディディーは怒鳴りつけた。
「ぼけっとするな!お前、死ぬかもしれねぇぞ!生きるんだろ!!」
 その時だ。

 ドドーン!!!!!!!!

 けたたましい音が辺りを包んだ。それに続いて、ドラゴンが耳を突き破るような声で鳴いた。ドラゴンの吐く炎で、何かが爆発したらしい。政府軍はすぐそこに来ているのだ。おそらくあと数分で、ジュダの家まで到達するだろう。ドラゴンはそれより早く来てしまうかもしれない。アレンは血の気が引いて行くのが分かった。ディディーは舌打ちをし、アレンをぐいと引っ張って家から少し離れた茂みの影に隠れた。すぐにジュダもそこに加わったが、茂みはやっと3人が隠れるくらいしかなかった。ジュダは麻でできた小ぶりの荷物入れを手に抱えていた。