Sunlight-あたしと彼女の小生意気奮闘記-(2)
「!」
天まで届く怒鳴り声とともに、ネオの右手を払う。
その絶叫に、ネオは。
「うるさい!」
「っ!」
今度は未知流がもたれかかるように、右手で彼女の鎖骨のあたりを強く叩く。
「うるさい、うるさい、うるさい!」
悲鳴をあげながら心の痛みをぶつける未知流を、ネオはただ真っ直ぐに見つめて受け入れる。その痛みも徐々に軽くなり、
「……うるさ、い……」
最後の一振りが終わり、『痛み』という成分を含んだ大粒の雫が、未知流の目から溢れ、顔をネオの胸元に隠す。
「何も知らない癖に……あたしの……あたしの何が分かるんだよ。ただの一般人なのに、容姿と噂、ただそれだけで判断され、妬み、避けられ、特別扱い! 檻の中に取り残された苦しみを、周りは気づきやしない! アイツらがそれを作ったのに、責任すら逃れて、しまいには陰口を叩きまくって、気づかないうちに、あたしに向ける負の感情は大きく膨らみ、自分たちは傷つかないように、手を差し出すことをやめ、勝手に作った『壁』を、アイツらは壊そうともしない! あたしの存在、身につけた強さすら、認めようともしない! ……だから、アイツらと同じように、あたしに関わる周りの状況を丸ごと受け入れ……あたしに用意された『現実』だと、割り切ったんだよ! 誰も傷つけることのないように!」
作品名:Sunlight-あたしと彼女の小生意気奮闘記-(2) 作家名:永山あゆむ