Sunlight-あたしと彼女の小生意気奮闘記-(2)
ヤンキーは思わず後ずさりして、顔から大量の汗が噴き出る。
「あんたみたいな能無しは、しっっっかり身体で覚えさせてやろうじゃないの!」
未知流は怒りをむき出しにして、ビビりまくりのヤンキーの方へと歩み寄る。彼女の漆黒の髪先が薔薇のように刺々しくなっているように、ネオには見えた。その姿はまさに、人を牛耳(ぎゅうじ)る黒薔薇の女王だ。
「ま、まて……悪かった……わるかったから……!」
「問答無用!」
黒薔薇の女王……未知流様は、すかさずヤンキーとの間合いを詰め、腹を狙って、
「はあああああっ!!」
拳の乱れ打ち!!
大男に阿鼻叫喚(あびきょうかん)の声すら黙らせるほどの速さで、ひたすら振るいまくる!
「すご……」
ネオは未知流のすさまじさに、口をポカーンと開いてしまう。まるで、兄貴がプレイ中の格闘的な要素を取り入れた戦闘システムのRPGにでてくる必殺技のように見えた。二次元世界ではないのに、彼女の拳から、赤いエフェクトが見える。
「ぐはあ――――っ!」
ヤンキーの顎に入ったフィニッシユ技――強烈なアッパーカットで、巨漢の男を宙に浮かせた。弧を描いて、彼は大の字になって地面に叩きつけられた。
作品名:Sunlight-あたしと彼女の小生意気奮闘記-(2) 作家名:永山あゆむ