Sunlight-あたしと彼女の小生意気奮闘記-(2)
紫色の殺気を出したまま、あたかも命令に背くものを必ず罰する圧制者みたく、目くじらを立てて、『力を奮うとは、こういうものだ』と、仁王立ちして先輩風を吹かせる。
「さあ、後はどうする? ここでオダブツにしてやろうか? ああっ?」
未知流はギリッと目を吊り上げ、指の関節をゴリッと鳴らす。逆光のおかけで、黒薔薇の女王の不機嫌さと貫録さが際立つ。
「ヒィ……!」
恐怖に慄くヤンキーの全身に、ブツブツと鳥肌が立っていく。
「わ……分かった……こうさん、降参だ!」
大男は佇んでいる彼女に慌てて両手を出す。そして、
「お、おめえら! い、いつまでもぶっ倒れてないで、ズ、ズラかるぞ!」
「「「お、オス!」」」
子分たちにそう告げると、大男は急いで立ち上がり、
「こ、今回はこれで勘弁してやる! こ、これで勝ったと思うなよ!」
捨て台詞を吐いて、そそくさと右側にある駅舎とは反対の方向――国道188号線に向かって逃げていくが、
「お、お、お……っ!」
右足に引っかかった小石で踏鞴(たたら)を踏み、右側にある岩国総合生が帰りに寄ることで有名な、『ひだまり屋』と呼ばれる小さな食料品店の入口の目の前で、
作品名:Sunlight-あたしと彼女の小生意気奮闘記-(2) 作家名:永山あゆむ