Sunlight-あたしと彼女の小生意気奮闘記-(2)
大男は目を疑った。こんなことはありえない。
だけど、これが現実。
「まったく、バカはバカらしくしとけばいいって言うのに……能無しだから、これくらい分かるわよ」
未知流は一瞬の隙に、ヤンキーが跳躍しながら振るった左手を左でキャッチしたのだ。
「……っ」
「うそ……」
大男だけでなく、ネオも驚愕する。
未知流は背後を見せたまま、静かにヤンキーに語りかける。
「なんで、分かったかって? そりゃあ、シロートの動きは単純だからね。利き手である左で、ふると確信していたからに決まっているだろ?」
「そ、それが……なんでわかんだよ……? 普通は右手だと……」
「簡単さ。あたしへの初手が左だったからね。それを見たら、だいたいは見当つくだろ。さて、」
未知流はヤンキーの巨拳を離し、左手に息を吹きかけ。
「これ以上はしたくなかったけど……やるしかないわね。覚悟、できてるよね?」
身の毛がよだつほどの声音とともに、未知流の背中から紫の殺気が湧き出る。
「ヒィッ!」
作品名:Sunlight-あたしと彼女の小生意気奮闘記-(2) 作家名:永山あゆむ