Sunlight-あたしと彼女の小生意気奮闘記-(2)
「わけわかんねぇことを、えばって言ってんじゃねぇ―――――――っ!!」
分かんないのかよ! とツッコむ暇もなく、ヤンキーは体をひねって左ストレートを未知流にふるう。
その巨拳を、未知流はひょいと右に首を振って躱す。
「かわすんじゃねぇ――――――っ!!」
文句を言いながら、前進しながら右、そして、左と、交互に巨拳を振っていく。その連打を未知流は後退しながら、素早く相手の動きとは逆に動いて、全て躱していく。しかも追い詰めれられることのないように、円を描くように動き回る。
未知流の術中に、次第にヤンキーの身体は汗びっしょりになり、憤怒と現した形相も迫力が欠け、心なしかトレードマークのリーゼントも湾曲(わんきょく)になり、くたびれている。
そして、
「ハア……ハア……」
ヤンキーの体力もとうとう限界に近づいた。
「ちょ、ちょこまかと、逃げやがって……ハア、ハア……」
息切れを起こす大男とは違い、未知流はその様子を涼しげに見ている。
「そりゃあ、ゴリラみたいに大振りで拳を振るったら、簡単に避けられるに決まってるでしょ」
未知流は、呆れたように両手を広げて見せる。
作品名:Sunlight-あたしと彼女の小生意気奮闘記-(2) 作家名:永山あゆむ