Sunlight-あたしと彼女の小生意気奮闘記-(2)
血を拭いながら、見下す巨漢を見上げる。
助けを呼んでも、許しを乞うこともできない。これこそまさに絶体絶命。
(やっぱりか……)
分かっていた。
勝負する前から、覚醒したその時点で。
しかし、逃げたくはなかった。自分の『正義感』がそうさせた。
このまま、自分と同じ学生たちが毎日安全に帰る保障は決してない。『肩をぶつけるだけで簡単にキレる』ヤツらなのだから、いつかは歩道橋にいる誰かを盾に、好き放題やるに違いない。高校生がやってはいけないことを。
――誰かがやらないのであれば、自分がやらないと。
そんな信念の下の行動力ではあったが……今回は度が過ぎた。
「ここまでだな」
歯をギラギラさせて、ニヤッと嗤うヤンキー。その表情は、とても狂気に満ちている。
「……」
黙ったまま、見つめるネオ。
表情には出てないが、両腕が震えている。今からボコボコにされるんだと思うと、恐怖を感じる。
作品名:Sunlight-あたしと彼女の小生意気奮闘記-(2) 作家名:永山あゆむ