Sunlight-あたしと彼女の小生意気奮闘記-(2)
意外な目で、ヤンキーを見上げるネオ。
「はっはっは! 逃げることが嫌いなだけさ」
「奇遇ね。わたしも逃げることが嫌いよ。でも、現実から逃げるという、ガキの真似事はしないけどね」
「言ってくれるじゃねぇか。アマだからって容赦はしねぇぞ! 覚悟、できてんだろうなアァァッ!!」
「ひぃ~っ」
ヤンキーの右隣にいた角刈りのチンピラは、慌てて、三人の下へ戻る。
それもそのはず。ボキボキと腕を鳴らし、一〇代らしからぬ獰猛な姿へと変わった。
その狂気に満ちた姿に、ネオは思う。
――ヤバい。暴走させちゃった。
その暴走ぶりが、兄貴がやっている三対三の格闘ゲームの裏コマンドで、凶暴化したキャラクターに似ている。コイツの戦闘力を仮にレベル10だとすると、その一〇〇倍まで自分が跳ね上げてしまった。まさか、こんな力があるとは……。コイツ、何か武術でもやっているのか?
ネオの右頬に一滴の冷や汗がつたう。
「あ~あ、またやってしまったよ」と思いつつ、ネオはすぐさま立ち上がり、距離を取る。
「アーン、フッたケンカから逃げようってのかぁ~」
作品名:Sunlight-あたしと彼女の小生意気奮闘記-(2) 作家名:永山あゆむ