Sunlight-あたしと彼女の小生意気奮闘記-(2)
だけど。
だからって……。
「……っ!」
走る!
不思議だ。走り出したら足が止まらない。
自分の意志で止まろうとも思っても止められないのだ。
なぜ……いや、そんなことを考える暇はない。
おそらく、己のプライド――自分以外は傷つけさせないという意志がそうさせたに違いない。
未知流はそう納得し、己の身体に引っ張られるがままに、跨線橋を駆け上がった。
※※※
「……っつ! ちょっと、何すんのよ!」
突き飛ばされて尻餅をついた麻倉音緒は、左右に二人ずついる、同い年くらいのパンチパーマや角刈りスタイルで、豹柄のものや、サーフ系、サーファー系のTシャツと白や青のスウェットパンツを穿いたチンピラどもを束ねる――ピラミッドの頂点にいる一人の大男――オオアリクイの鼻並みの長い金髪リーゼント、ガルフィーの黒ジャケットとジャージという、その筋骨隆々(きんこつりゅうりゅう)としたガタイには似合わない、悪趣味な容姿のヤンキーを睨みつける。歳は、ネオよりも二、三歳年上に見える。
作品名:Sunlight-あたしと彼女の小生意気奮闘記-(2) 作家名:永山あゆむ