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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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無幻真天楼第二部・第三回・弐】坂田さん家のみつるくん

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すれ違う車のライトが車内を照らしては遠くなっていく
「悪かったね遅くまで」
「いやぁバス代浮いたし」
「まぁな」
後部座席の中島と京助が笑いながら言う
「若の不安を少しでも和らげようと思ってね」
「和らいだのかは置いといて…俺らも顔見られてまぁ一安心だよね」
「朝にウニからいきなり手術とか聞いた時ゃ何事かと思ったからなぁ」
シートにもたれ掛かった京助が今朝のことを思い出して言った
「俺も驚いたよ。本当に眼鏡をかけることになると思ったしね」
柴田がハンドルを切りながら笑う
「つか坂田が何でだて眼鏡かけてんのか知らんだけど俺」
中島が身を乗り出して聞いた
「あー…俺も知らん」
「俺も」
「はははっ」
中島の問いに京助と南が答えると柴田が笑った
「柴田さん知ってんですか?」
「いやぁ…実は俺も知らないんだよ」
「えー…;知らないんですかー?」
答えを聞けるのかと期待していたのか三人が肩を落とす
「俺らより坂田と一緒にいる柴田さんが知らないんじゃなぁ…って…」
ふと京助が言葉を止めた
「そいや…柴田さんって…じょ…なんとかなんスよね?」
「え? …ああ…清浄…だよ」
「いつから…こっちにいるんスか…?」

静かになった車内
すれ違う車の数が減り標識に正月町の文字が見えた
「君たちが産まれる前からかな…」
車の速度が落ちて一件の家の前で止まると中島が鞄を持った
「さぁここまでにしておこうか。中島くんだけ聞かないってのは不公平だしね」
「あ…そう…だよねぇんじゃ中島また明日な」
南が後部座席を振り返って笑う
「ああんじゃ…ありがとうございました」
中島がごそごそと動いてドアを開け車から降りる
「んじゃな」
京助が手を降ると中島がドアを閉めた
ゆっくりと動き出した車が右に曲がる
沈黙のまま南の家について南を降ろし京助だけを乗せた車が動き出した
「京助君」
いきなり名前を呼ばれ京助が顔をあげるとバックミラーに柴田の顔が映っていた

「緊那羅君は好きかい?」
「何か最近そればっか聞かれんスけど;」
「はははっそれだけ周りが君たちが気になっているってことだね。…何か飲むかい?」
柴田が自動販売機の前で車を止めた
ガコンと音がしてしばらくすると柴田が戻ってきた
「はい」
「あ…ども」
手渡されたのはファンタのグレープ味
「…飲まないの?」
「あ…いや…のみ…ます」
京助がプシッとタブを開ける
一口口に含むとシュワシュワと広がるブドウの甘味
久々の味でふと思い出した
前に頭からファンタグレープを被ったことがあったっけ
横にいたのは悠助とそして