無幻真天楼第二部・第三回・弐】坂田さん家のみつるくん
正月町から車で約一時間走った所にある【留萌(るもい)】
都会には程遠いがそれなりに正月町よりは都会である留萌の市立病院
その病院の3階、303号室という部屋番号の下にある名前を確認する
【坂田深弦】
「ここっスか?」
京助が部屋を指差して聞く方向には柴田と南がたっていた
「そうそう。さ、どうぞ」
にっこり笑った柴田が病室の戸を開ける
「…おらん」
がらんとした病室にいるはずだった坂田の姿はなかった
「あれー…?; 京助君達が来るから部屋にいるようには言ったんだけど…」
柴田が頭をかきながらため息をついた
「看護婦さん追いかけてったとか?」
「誰がじゃ」
中島が言った瞬間入った突っ込み
「若…どこいってたんですか;」
「検査だよ検査っ; 後からもう一回呼ばれるっぽい」
「すっかり患者だなー…点滴とかないの?」
ベッドに座った坂田に南が聞いた
「わからん…なんせ初体験だからな」
「あらあらお赤飯」
「めでたくはないから赤飯はアカンちゃう?」
「じゃ黒飯?」
「いや死んでねぇし」
個室なのをいいことにワイワイ盛り上がる京助達
坂田が目に違和感を感じて正月町の診療所にかかったのは四日前
そこで診察後医者から市立で検査を受けるよう言われ検査を受けたのが三日前
市立で検査を受けて入院して手術するよう言われたのが二日前で入院したのが今日
「ってかお前ら学校帰りかよ;」
坂田が京助達の格好を見て聞いた
「校門でたら柴田さんに拉致られたんだよ」
「拉致って;」
京助がいうと柴田が苦笑いをした
「まぁ見舞いにこようっても距離的に俺らがちょっと行ってくるってのあんまできねぇからよかったけどね」
南が笑う
「見舞いにキタならなんか持ってこいよ」
「持ってきたぞ?ウニからプリント」
「いらねぇ…;」
同じクラスの京助が鞄から二枚のプリントを取り出して坂田に手渡した
「ウニも後から様子見にいくみたいなこと言ってたぞ」
「んならそん時にこれ持ってくりゃいいじゃんウニもなー…;」
「まぁまぁ」
南が坂田の肩を叩いた
「結局ウニこなかったな」
肩に鞄をさげた京助が病室の戸を開けた
「ってか地味にまだ5時だし」
「暗くなるの早くなったよなぁ…」
病室の窓から見えた空は紺色
「おセンチな気分になるオータムがやってきましたな」
中島がカーテンを閉めた
「じゃあ若、俺ちょっと京助君たち送ってきますからいい子にしててくださいね」
「なっ…柴田ッ!! てめ…;」
柴田が坂田の頭を撫でて笑うと坂田が怒鳴る
「みちゅるんいい子でお留守番してるんでちゅよー?」
「注射で泣いちゃダメでちゅからねー?」
「やかましいっ!!;」
南と中島が坂田の頭を撫でながらからかうと坂田が2人を押した
「こらこら若、病院じゃ静かにしないと駄目じゃないですか」
「みちゅるん悪い子でちゅ」
「さ っ さ と か え れ」
柴田と京助に言われた坂田が眉をひくつかせる
「じゃいってきます」
「手術頑張れよー」
「あー…;」
坂田がため息をつきながら手を振ると病室の戸が閉まった
「はぁ…」
坂田がベッドに仰向けに横たわる
妙に広く感じる病室の天井から目をそらして窓を見た
カーテンが閉められた窓から今度は病室の戸を見る
キュッキュッという足音が近づいてきて遠くなっていった
むくっと起き上がった坂田が髪をほどく
肩甲骨までの長さの髪
伸ばし始めたのはいつだったろう
そう
あれは確か
都会には程遠いがそれなりに正月町よりは都会である留萌の市立病院
その病院の3階、303号室という部屋番号の下にある名前を確認する
【坂田深弦】
「ここっスか?」
京助が部屋を指差して聞く方向には柴田と南がたっていた
「そうそう。さ、どうぞ」
にっこり笑った柴田が病室の戸を開ける
「…おらん」
がらんとした病室にいるはずだった坂田の姿はなかった
「あれー…?; 京助君達が来るから部屋にいるようには言ったんだけど…」
柴田が頭をかきながらため息をついた
「看護婦さん追いかけてったとか?」
「誰がじゃ」
中島が言った瞬間入った突っ込み
「若…どこいってたんですか;」
「検査だよ検査っ; 後からもう一回呼ばれるっぽい」
「すっかり患者だなー…点滴とかないの?」
ベッドに座った坂田に南が聞いた
「わからん…なんせ初体験だからな」
「あらあらお赤飯」
「めでたくはないから赤飯はアカンちゃう?」
「じゃ黒飯?」
「いや死んでねぇし」
個室なのをいいことにワイワイ盛り上がる京助達
坂田が目に違和感を感じて正月町の診療所にかかったのは四日前
そこで診察後医者から市立で検査を受けるよう言われ検査を受けたのが三日前
市立で検査を受けて入院して手術するよう言われたのが二日前で入院したのが今日
「ってかお前ら学校帰りかよ;」
坂田が京助達の格好を見て聞いた
「校門でたら柴田さんに拉致られたんだよ」
「拉致って;」
京助がいうと柴田が苦笑いをした
「まぁ見舞いにこようっても距離的に俺らがちょっと行ってくるってのあんまできねぇからよかったけどね」
南が笑う
「見舞いにキタならなんか持ってこいよ」
「持ってきたぞ?ウニからプリント」
「いらねぇ…;」
同じクラスの京助が鞄から二枚のプリントを取り出して坂田に手渡した
「ウニも後から様子見にいくみたいなこと言ってたぞ」
「んならそん時にこれ持ってくりゃいいじゃんウニもなー…;」
「まぁまぁ」
南が坂田の肩を叩いた
「結局ウニこなかったな」
肩に鞄をさげた京助が病室の戸を開けた
「ってか地味にまだ5時だし」
「暗くなるの早くなったよなぁ…」
病室の窓から見えた空は紺色
「おセンチな気分になるオータムがやってきましたな」
中島がカーテンを閉めた
「じゃあ若、俺ちょっと京助君たち送ってきますからいい子にしててくださいね」
「なっ…柴田ッ!! てめ…;」
柴田が坂田の頭を撫でて笑うと坂田が怒鳴る
「みちゅるんいい子でお留守番してるんでちゅよー?」
「注射で泣いちゃダメでちゅからねー?」
「やかましいっ!!;」
南と中島が坂田の頭を撫でながらからかうと坂田が2人を押した
「こらこら若、病院じゃ静かにしないと駄目じゃないですか」
「みちゅるん悪い子でちゅ」
「さ っ さ と か え れ」
柴田と京助に言われた坂田が眉をひくつかせる
「じゃいってきます」
「手術頑張れよー」
「あー…;」
坂田がため息をつきながら手を振ると病室の戸が閉まった
「はぁ…」
坂田がベッドに仰向けに横たわる
妙に広く感じる病室の天井から目をそらして窓を見た
カーテンが閉められた窓から今度は病室の戸を見る
キュッキュッという足音が近づいてきて遠くなっていった
むくっと起き上がった坂田が髪をほどく
肩甲骨までの長さの髪
伸ばし始めたのはいつだったろう
そう
あれは確か
作品名:無幻真天楼第二部・第三回・弐】坂田さん家のみつるくん 作家名:島原あゆむ