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DESTINY BREAKER 一章 1

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腹部が燃えるように熱かった。体内に焼鏝(やきごて)が刺し込まれているような激しい熱さ。そしてそれに押し出されるように体外へ温かい液体が流れ出ていくのを感じた。
『お願い・・・・・・笑って・・・いて・・・貴方は・・・・・・笑って・・・』
私は、笑ったあなたが好きだから。いつも、どんなときも蒼に染まる無限の大地を暖かく照らす陽光のような、あなたの笑顔が好きだから。
「ああ、笑うから!オレが笑うから死ぬんじゃない!死ぬなよ!頼むよ・・・一人にしないでくれよ・・・。」
そんなことを言って笑うことができない彼がそれでも私はとても愛しくて彼の瞳からとめどなく溢れる雫を精一杯伸ばした指でそっと掬(すく)った。もっと一緒に、この世界の誰よりも心の優しい彼と同じ時間を過ごしたかったと叶わぬ願いを強く想う。
『いつか・・・また・・・・・・会え・・・たら・・・貴方と・・・・・・ともに・・・』
「○○○!!」
過ごせたら、何も気に病むことがなく暮らすことができたら楽しいだろうな・・・。
『ごめ・・・んね。・・・ちょっと・・・休む・・・・・・ね』
力強く体が彼の体に引き寄せられ、抱きしめられたのを感じた。
その感触がとても・・・懐かしくて・・・嬉しくて・・・切なくて。
『・・・あったかいなぁ』
それとごめんねって言おうとして、私は目を閉じた。
「――――――う、あ、あああああああああぁっ!!」
言葉にならない彼の叫びが遥かな空に木霊する。
止め処なく流れ出る液体は紅の水溜りを創り、
私は彼の胸の中で温もりを感じながら体温を冷やしていった。


「うぅ、・・・もう。今日で何回目なの。」
外界が漆黒の闇に支配されている夜、私は最近夜になると頻発してみるようになった夢のせいで目が醒めてしまった。季節は師走、さがりきった部屋の温度は気持ちを憂鬱にするには事足りた。枕もとの時計を見ると真夜中の三時である。思わず溜め息が零れ、白い息が視覚できた。
「―――まったく、神様は私に何か恨みでもあるわけ。」
正直なところ神様に恨まれるようなことで思い当たるふしはない。これはただ他に責めるものがないための代替措置に他ならなかった。
作品名:DESTINY BREAKER 一章 1 作家名:翡翠翠