飛行機雲の人
いくらか時間が経ったあと、最後のプリントを机に置いた。
終わった…!
俺は自分の分の分担を終わらせ、肩の力を抜いた。
そして急いで荷物を片づけて、鞄を持って走り出す。この足はふわり、軽やかだ。
俺を待ってくれている彼女に会いに急いで教室を出る。
扉を開けて足は宙を舞う。
あのがらんとした箱のなかから一瞬で飛び出した。なぜか、重圧が取れたような虚脱感がある。
リノリウムの床はてらてらと光っていた。
この足は走る。
窓の外には爆発する夏のエネルギー。
夏休みの学校。太陽の下で練習する運動部員、遠くにブラスバンドの楽器の音。夏休みに生きる生徒たちの生命活動。
この平穏しかない校舎に俺の足音だけが響いていく……。
俺は走る。
その後、
彼女に会った俺は幸せな気持ちで残りの一日を過ごした。
時間はさらさらと穏やかに流れゆく。
二人で歩く道。つないだ手は優しく溶けていきそうだ。
ふと、空を見る。
夕日が沈む、空には赤だけ。