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冬野すいみ
冬野すいみ
novelistID. 21783
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飛行機雲の人

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学校に着いてから、俺は提出する図や表を作っていた。色を塗ったりまとめたり、なんだかガキの自由研究のようだ。
そう思うと少し気恥ずかしく情けない。
同時に時間も忘れそうだ。今自分がいくつで、誰で、何をやっているのかあいまいだ。
夏休みなんていつもそうか。イメージは子どもの頃のままだ。

静かな教室。
俺の目の前には、やはり昨日と同様に作業をする人間がいた。相変わらず涼しげな顔のまま無表情に手を動かしている。
その目をちらりと見る。真っ暗で何も見えない。
こいつは誰だ…。いまだに名前が覚えられない。こいつも俺の名前を覚えちゃいないんだろう。


Bの手元を見てみる。
青の色をずっと塗っている。まっさらな紙を青にしていく。こいつは青が好きなのかもしれない。

青い空、赤い空。
青が好き、いいや、赤が好き。

作品名:飛行機雲の人 作家名:冬野すいみ