「セックスアンドザシックスティーズ」 第二十九話
「お前は知らないかも知れないけど高校の同級生の山田が離婚したんだよ」
「山田さん?お会いした事無いですわよね?」
「多分な。それで話を聞いたら奥さんが浮気していて、そのことでもめて元に戻れなくなってしまったと言うんだ」
「そうでしたの・・・奥様が浮気をね」
「山田のやつ仕事仕事で忙しくしていたから気付かなかったようだけど、随分そのう・・・なんだ・・・言いにくいけど・・・なくなっていたらしいんだよ。それで寂しさを他に求めたんだろうって言ってた」
「・・・こんな歳でもそうなんですね」
「まあな、若い頃のようにたくさんしたいとは思わないけど、男と女は幾つになっても仲良くしないといけないと彼は言っていたよ」
「あなたもそう思われますの?」
「映子はどうなんだ?」
「わたし?・・・浮気の事?」
「違うよ!男と女のことだよ」
「そんなこと、恥ずかしい。いえませんよ」
「おれたちだって随分無いよな・・・山田の話聞かされて考えさせられたんだ。夫婦ってなんだろうって」
「夫婦ですか?お父さんとお母さんじゃないんですか?」
「それだけじゃないよ。おじちゃんとおばあちゃんもだろうし、映子と光雄だし、男と女でもあるってね」
作品名:「セックスアンドザシックスティーズ」 第二十九話 作家名:てっしゅう