お弁当ものがたり
食べ物の恨みは恐ろしいのだ
姉が高校に入ったばかりの頃の話。
ワタクシは中学生ですので、給食があるのでお弁当はいりません。
この頃、わが家には父の姉、つまりワタクシにとっては伯母が同居していました。
この伯母は姉を猫かわいがりしていまして、なんでもかんでも「やよい。やよい」(*注:姉は三月生まれなので仮の名前です)と姉のことを一番にするのでした。
ある晩のこと。
夕食にチキンステーキが出ました。ワタクシは食べやすそうな形の肉がのっている皿をとり、食べようとしました。
ところが、くだんの伯母が言ったのです。
「あゆみの肉の方が、やよいのお弁当のおかずにいいんじゃない」
──ほらほら、また始まったよ。やよい。やよいって。(心の声)
ワタクシも、そう言われると、断固として拒否したくなります。
弁当のおかずにするなら切っていれればすむことですからね。
このころは伯母が家族の中で一番威張っていたので、あっという間にワタクシの皿は取り上げられ、別の皿が目の前に……。
同じチキンステーキだって、形の違いで気分的に違うってもの。
たちまち食欲が失せてしまいました。
とにかく伯母の横暴さに頭にきて、未だに忘れない出来事です。とっくに伯母はなくなったのにね(^^;)
だって、姉がその後もずっとお弁当をもって行っていたならともかく、その後は購買でパンを買っていたんですから。
高校に入学した姉が、わずかに1〜2日お弁当をもって行ったうちの一つのエピソードがこれです。
え? それでどうやって恨みを晴らしたのかって?
それからずうっと時は過ぎ、伯母が入院した時のこと。
ちらっと聞いたのですよ。
「やよいが来てくれたから、あゆみさんはこなくても……」
みたいなことを言ったとか言わないとか。
ワタクシ、花を抱えてさっそうとお見舞いに行きました。
そして、開口一番。
「なぁに? わたしは来なくてもいいんだって?」
伯母がどういう顔をしたか、ご想像にお任せします♪