小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
せき あゆみ
せき あゆみ
novelistID. 105
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

お弁当ものがたり

INDEX|14ページ/16ページ|

次のページ前のページ
 

食べ物の恨みは恐ろしいのだ



姉が高校に入ったばかりの頃の話。
ワタクシは中学生ですので、給食があるのでお弁当はいりません。

この頃、わが家には父の姉、つまりワタクシにとっては伯母が同居していました。
この伯母は姉を猫かわいがりしていまして、なんでもかんでも「やよい。やよい」(*注:姉は三月生まれなので仮の名前です)と姉のことを一番にするのでした。

ある晩のこと。
夕食にチキンステーキが出ました。ワタクシは食べやすそうな形の肉がのっている皿をとり、食べようとしました。
ところが、くだんの伯母が言ったのです。

「あゆみの肉の方が、やよいのお弁当のおかずにいいんじゃない」

──ほらほら、また始まったよ。やよい。やよいって。(心の声)

ワタクシも、そう言われると、断固として拒否したくなります。
弁当のおかずにするなら切っていれればすむことですからね。

このころは伯母が家族の中で一番威張っていたので、あっという間にワタクシの皿は取り上げられ、別の皿が目の前に……。
同じチキンステーキだって、形の違いで気分的に違うってもの。
たちまち食欲が失せてしまいました。

とにかく伯母の横暴さに頭にきて、未だに忘れない出来事です。とっくに伯母はなくなったのにね(^^;)

だって、姉がその後もずっとお弁当をもって行っていたならともかく、その後は購買でパンを買っていたんですから。
高校に入学した姉が、わずかに1〜2日お弁当をもって行ったうちの一つのエピソードがこれです。

え? それでどうやって恨みを晴らしたのかって?

それからずうっと時は過ぎ、伯母が入院した時のこと。
ちらっと聞いたのですよ。

「やよいが来てくれたから、あゆみさんはこなくても……」

みたいなことを言ったとか言わないとか。

ワタクシ、花を抱えてさっそうとお見舞いに行きました。
そして、開口一番。

「なぁに? わたしは来なくてもいいんだって?」

伯母がどういう顔をしたか、ご想像にお任せします♪

作品名:お弁当ものがたり 作家名:せき あゆみ