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海野ごはん
海野ごはん
novelistID. 29750
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これは明け方のバーのマスターの物語

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彼女はつい2ヶ月までは中学校の先生をしていた。英語の先生だった。
僕らの出会いは秋にさかのぼる。
コスモスが道端にたくさん咲いてる頃、うちの店の階段を一人で上ってきた。
まだ、うちの店では宵の口と呼ばれる早い時間午後8時頃だった。
友達との待ち合わせまで後1時間もあるので、
とりあえず待ち合わせの場所から一番近い、うちのバーを選んできたそうだ。
  

店の名前は「淫靡な接吻」
へんな名前だから、なかなか一人で薄暗い階段を上ってくる女性は少ない。
『よく、勇気がありましたね』
『はっ、何か?』
『いえ、”淫靡な接吻”ってちょっと怪しい名前でしょ・・・』
『あっ、ごめんなさい。見てなかったもんで・・・』
『そうでしょうね。飛び込みで女性一人で来られる方はあまりいないもんだから』
『いけなかったんでしょうか・・・』
『いえ、いえ、大歓迎です。特に美人の方は・・・』
『まぁ、嬉しい・・・』
  
それから、彼女は1週間に一度は来てくれるようになった。