【無幻真天楼第二部・第三回】きみぼく
眉を下げた笑顔で緊那羅を見下ろす京助
お互い黙ったままただお互いの顔を見る
京助の背が少し前にかがんで
緊那羅の首が少し上がって
緊那羅の肩を押さえていた京助の手が布団にずれて
京助と緊那羅の体の距離がゆっくり縮まりはじめて
「京助ーご飯だよー!!」
悠助の声
「義兄様ー!!」
次に慧喜の声
「呼ばれてるあるよ京助」
「お う;」
何故か立ち上がり窓を開けていた京助に分が言う
「緊那羅もいくあるか?」
「そ そうだっちゃね;」
こちらも何故かストレッチをしていた緊那羅に阿が言う
「さぁって行くか!!」
あからさまにわざとらしい大きさの声でいいながら戸口に向かう京助の肩に分が飛び乗った
「わっ…私布団片付けてからいくっちゃ」
少し裏返りぎみの声で緊那羅が言った
「了解」
振り返らず京助が返事をして部屋から出ていった
顔が熱い
心臓がドキドキと大きく鳴っている
あのまま悠助が京助を呼ばなければ
…呼ばなければ…
ブンブンと頭を振った緊那羅が布団を畳み始める
「緊那羅顔真っ赤ある」
「は…はははは;」
阿に突っ込まれた緊那羅がぎこちなく笑った
作品名:【無幻真天楼第二部・第三回】きみぼく 作家名:島原あゆむ