【無幻真天楼第二部・第三回】きみぼく
「大丈夫あるか」
「ごめんある」
京助の肩に乗っていた阿分がほぼ同時に言った
「え…?」
「こいつらずっとお前の部屋の前にいたんだぜ」
「阿分…」
体を起こした緊那羅が阿の首を撫でた
「で 大丈夫か」
京助が聞くと緊那羅が頷く
「あ…私…」
「晩飯ならもうできてるっぽいぞ」
「そ うだっちゃ?;」
「だからまだ寝てろ」
うつむいた緊那羅を見て京助がため息をついた
「緊那羅」
「なんだっちゃ?」
京助が緊那羅をよんだ
「緊那羅」
「なんだっちゃ?」
もう一回
そして緊那羅の頭に手を乗せて
「寝てろ」
「わっ;」
枕に緊那羅を押し付けた
「でもっ;」
「でもでもへったくれもねぇ!! ね て ろ つうか寝ろ」
暴れる緊那羅を押さえつける京助
「私は大丈夫だっちゃっ!!;」
「やかましいっ!! 寝ろ寝てろ!!」
緊那羅に馬乗りになりながら京助が言う
「なんでそんなに私に寝てろって…っ;」
「言うこと聞け!!」
緊那羅の肩を無理矢理布団に押し付けると目が合った
「…お前また阿呆なこと考えて考えすぎてたんだってな」
「えっ…」
「こいつらから聞いた」
いつの間にか京助の肩から避難していた阿分に顔を向けた京助につられてなのか緊那羅も阿分を見る
「緊那羅…」
「京助…」
とたとたと近づいてきた阿分が京助を見上げ緊那羅を見る
「…寝てる間は頭も体も休めるだろ。あ…夢は見るから頭は休めんか;」
「…京助…」
「とにかく寝ろ」
作品名:【無幻真天楼第二部・第三回】きみぼく 作家名:島原あゆむ