【無幻真天楼第二部・第三回】きみぼく
「違う」
それに対してきっぱりと否定を返す
「でも緊那羅に聞いた時は自分指差してたあるよ」
「昔の緊那羅っていってたあるよ」
「違うってんだろ」
また京助が否定する
「操ちゃんはもういねぇんだ。緊那羅は緊那羅だ」
そう言った京助の声は少し寂しげな気がした
「…ばぁか」
京助が緊那羅を見て言うと布団の横に腰を下ろす
緊那羅の体は操の体だっていうこと
でも中身は操じゃなく緊那羅で
操だったときに繋いだ手は自分より大きかった
緊那羅と繋いだ手は自分より少し小さくて細くて
操だったときには見上げていたのに
緊那羅は自分より少し小さくて
何気なく緊那羅の顔の横にあった半分だけ開かれていた手に指を入れてみた
ぴくっと動いた緊那羅の手
「…京助…?」
「よ」
さっきより強めに京助の指が握られた
作品名:【無幻真天楼第二部・第三回】きみぼく 作家名:島原あゆむ