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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【無幻真天楼第二部・第三回】きみぼく

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ガラガラと玄関の戸が開くと同時に
「あー…腹減ったー…;」
そういいながら京助が帰ってきた
晩飯の支度の匂いが京助の腹の虫を鳴かせる
「おかえりナリ」
「おぅ」
慧光が奥からやってきて言った
靴を脱いだ京助がいつもとはちょっと違う何かに一瞬動きを止める
「京助?」
なかなか一歩を踏み出さない京助に慧光が呼び掛けた
「き ょ う す け」
「んぁ?」
もう一回今度は一言ずつ区切って慧光が呼ぶと間の抜けた返事が返ってきた
「どうしたナリ?」
「いや…なんか…うん」
ずるずると鞄を引きずって京助が家の奥に歩き出す
「あらおかえり遅かったわね」
「ただいもす」
母ハルミがおかずの乗ったお盆を持って茶の間に入っていった
「おかえり」
そのあとから烏倶婆迦が箸立てと麦茶のピッチャーを持ってやってきた
「京助」
「あ?」
茶の間を通りすぎて自室にいこうとしていた京助を烏倶婆迦が呼び止めた
「緊那羅寝てる」
「は?」
「たぶんそろそろ起きるから」
「はぁ…?」
そういって茶の間に入っていった烏倶婆迦
「…昼寝か?」
京助が頭をかきながら呟いて歩き出した
廊下の分かれ道でふと足を止めて緊那羅の部屋の方を見ると部屋の前に白と黒の毛玉が見えて京助が向きを変えた