【無幻真天楼第二部・第三回】きみぼく
いつも隣にいた緊那羅
でもそれは自分が緊那羅の隣にいたかったからという見方もできる
緊那羅の隣にいたかったから
緊那羅はそんな自分の隣にいた
いてくれた
操ちゃんのことは好きだった
理由なんてない
操ちゃんだから好きだった
緊那羅は…
「俺は緊那羅が緊那羅だから…っ」
京助が顔を上げるといつの間にか緊那羅も顔を上げていて目が合った
涙の跡が月明かりで光っている
緊那羅の手が京助の手を握った
「手…繋いで欲しいっちゃ…そしたら…そ…」
緊那羅の手の下にあった京助の手は緊那羅の背中に回った
押し付けられた京助の胸の鼓動が聞こえる
京助の匂い
京助の体温
「京助…」
「…んだよ…」
緊那羅の頭に顎を乗せた京助が返事をした
「好きだっちゃ…」
「…さんきゅ」
少し間を開けて返ってきた京助の言葉
緊那羅の腕が京助を抱き締めた
作品名:【無幻真天楼第二部・第三回】きみぼく 作家名:島原あゆむ