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せき あゆみ
せき あゆみ
novelistID. 105
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青いワンピース

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数日後、また夜勤になったとき、わたしはなぜか胸騒ぎがして、外来の待合室まで行ってみた。
すると、水木さんがいるではないか。
あの日のように青いワンピースを着ていて、わたしに気付くとにこやかな笑顔を見せてくれた。

「あ、あの……」

うまく話すことができずにいると、水木さんが言った。

「お薬をいただきに来たの。ちょっと苦しくなったから休んでいたのよ。もう帰るわ」

静かに立ち去る水木さんの後ろ姿は今にも消え入りそうだった。


腑に落ちない思いで病棟へ戻ると、看護師長さんが声をかけてきた。

「石井さん。どうしたの? 顔色が悪いわよ」

「いえ、何でもないんです」

「何でもないって顔じゃないわ。どうかしたの?」

「今、外来に水木さんがいたんです。お薬を取りに来たって」

「何を言ってるの。こんな時間に薬局はやってないでしょ」

時間はもうすぐ、真夜中の12時になろうとしていた。

「あ」

わたしはそのとき、我に返った。そうだ。腑に落ちないのは当然だ。

「しっかりしてよ。さ、見回りよ」

懐中電灯をもって、病室を見回る。わたしはふと、西の端の個室の前で足を止めた。
水木さんが入院していた部屋だ。今は空いている。水木さんは1ヶ月間入院していた。そして退院してから1ヶ月になる。

何気なく、わたしはその個室のドアを開けた。
懐中電灯の明かりで部屋中を照らす。もちろん、誰もいるはずがない。

後ろ手でドアを閉めようとしたとき、背後に人の気配を感じて振り向いた。

「あ!」

わたしは思わず叫んだ。

ベッドに青いワンピースを着た水木さんが座っているではないか。
さっきのようににこやかな笑顔で。

驚いて身動きもできないわたしの目の前で、水木さんの姿は薄くなって、やがて消えてしまった。

わたしは走ってナースステーションに戻った。

「師長さん」

「どうしたの? 汗びっしょりよ」

「み、水木さんが……」

「え? 水木さん? たった今救急車で運ばれてくるって連絡があったのよ」

「そ、そんな」

「あの部屋、空いていたわね。すぐに入院の準備して」

作品名:青いワンピース 作家名:せき あゆみ