小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

涙のわけ / 詩のようなもの

INDEX|29ページ/49ページ|

次のページ前のページ
 

     東京の夜


とあるなま暖かい春の宵、ひとりのジーンズのつなぎを着た白鬚の老人と、ひとりの髪の長い若い女が、腕を組んで、おおきな青い月へとつづく、ながい坂道を、歩いていた。

シグナルが赤になって、ふたりは立ち止まった。

「俺はもうじき死ぬよ・・・・・・」

「馬鹿なこと言わないでよ」

女は言った。

彼らは祖父と孫であったろうか。恋人であったろう。

わたしは、寄り添う彼らの傍らを通り過ぎ、ながい坂道を、ゆっくりと、ひとり、黙って、おおきな青い月へ向かって、昇っていった・・・・・・。