涙のわけ / 詩のようなもの
君は
君はそのうち泣くだろう
こらえ切れずに泣くだろう
来る日も来る日も不運か押し寄せ
対処しきれず泣くだろう
かまえても企んでも
不幸はどこからかやってくる
藪から棒に顔を出す
君の死角から突いて来る
君はそうして泣くだろう
あなどられ軽んずられ
隠微な誹謗中傷の嵐のなかで
床にひれふして啜り泣く
オオ 今日もふいに訪れる
冷たい女のつれない告知
君の失敗がなじられる
君の迂闊が責められる
君の不注意が段々君の信用を無くす
君の不甲斐なさがいつの間にか君を孤独にする
君の優柔不断が君をおいてけぼりにする
君の弱さが益々君をOUTSIDERにする
オオ 彼等が今日も企んでいる
どことも知れない密室で
君を効率よくコントロールするために
彼等なりの符牒で
そして最後まで君は泣くだろう
自嘲しても諧謔をとばしても
揶揄や嘲笑が君を追い立てる
アア いつ果てるとも知れない地獄の悦楽!
作品名:涙のわけ / 詩のようなもの 作家名:池本浩一