涙のわけ / 詩のようなもの
養護学校にて
君達は知らないんだよ
十七歳で
まともなSEXも知らずに
死んでいった
筋ジストロフィーの
少年のこと
SEX SEXと
しょっちゅう言っていたっけ
俺は本気で保母さん達が
やらせてやればいいと思った
まさかスポーツをやれとは言えまい
頑張ってやれとは言えまい
しかたがないから
本でも読んだら と言った
そして彼は「次郎物語」と「クオレ」を読んだんだ
それとも君達は知っているのか
なにもかも
こういう戯文の欺瞞についても
作品名:涙のわけ / 詩のようなもの 作家名:池本浩一