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しっぽ物語 11.豚飼い王子

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「院長の政敵に掛け合って1度だけ接見したんだが、記憶喪失のままだ。無理に話を聞こうとしたら、錯乱した。精神安定剤を打たれて、そのまま病室に連れ戻された、それで終わり」
「役に立たない」
「そう簡単にはいかないさ。だが、慰問にはFも来るらしいぞ」
「一体どういう厚顔だ」
「今までの罪状から考えて、らしいといえばらしいがな。ホームレスへの暴行、営業妨害、婦女暴行も以前に何度か。そのたびに親父が上手くとりなしてるって話は間違っちゃいない、裏も取れた」
「だろう。それなのに」
「意に介さず、女に会いに行く気だ」
「馬鹿なのか、肝が据わってるのか」
「今までの話が正しければ、あんたの腹違いの兄弟ってことになるな」
「よしてくれよ。そんな不肖の弟、困る」
「しかし、これまでの情報で、一個もはずれが無いって言うのに驚いた。裏の繋がりで?」
「嫌な言い方だけど、その通り。この家に転がり込んでるのも、つてだしな」
「少しだが、Dから話は聞いてる。リノにいたとき組んでたって」
「あいつがペッパー・ミル・ホテルでカリビアンスタッドのディーラーをやってたときに。もう一人いたんだけど。俺とそいつがテーブルの下でカードを交換して、Dが見て見ぬふりするってね。目ざといピット・ボスがいて、すぐバレたけど。俺が怖気づいて、Dが逃げ出して、でも三人目はとんだ豚野郎、髪を染めたらまたリノで稼げるって思った。そして」
「そして?」
「どこかのホテルで腕でも折られたか、それこそ記憶が飛ぶほど殴られたか。俺達が捕まってないところを見ると、警察には突き出されてないらしいな」
「映画みたいな話だな」
「そんな派手じゃないけどね。せこい仕事だよ」
「聞いてみたいな、ルポが一本書けそうだ」
「それは又の機会に。にしても、可哀相な女だと思わないか」
「だれが?」
「天使」
「ああ。なかなか顔が割れないところを考えたら、地元の人間じゃなさそうだな」
「多分ね」
「エスコート・サービスの線も調べてみたんだが、特に該当者は見当たらない」
「可哀相に」
「同情的だな」
「普通同情するよ。殴られて、ごみみたいに捨てられるなんて」
「だが性器に傷はないとかで、どうやら合意の上で寝てたらしい」
「それでも」
「まあ、代償としちゃ確かに重すぎるな」
「所詮そういう女って、言ったらおしまいだけど。いいネタじゃないか」