小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

母から私 私から娘へと ~悲しみの連鎖~ (続)

INDEX|28ページ/35ページ|

次のページ前のページ
 

 明日は仕事に行かなくては、と頭で考えながらもついに電車がなくなった。
 明日の朝早く帰ろう――そう思いながら夜中になった。
 普段ならとっくに眠る時間だったが、孫が具合が悪くて眠れないらしくて、何度もぐずって泣いた。結局ほとんど眠れないまま朝を迎えてしまい、ぼうーっとした頭でまた考えた。――やはり仕事に行かなくては……と。
 しかし奈緒の熱は全く下がらないし、この状態で赤ん坊の世話をさせるのはあまりにも可哀想だった。結局迷った末に、私は社長の奥さんにメールを書いた。
『今、娘の所に来てるんですが、娘がインフルエンザで熱が高いので、申し訳ないけど今日はお休みさせて下さい』と。
 連絡を入れてしまえば逆に気持ちは吹っ切れて、私は新たな食料を仕込みに買い物に出掛けた。二人のために、食べ易くて元気が出そうな物を探して買った。
美味しそうな苺やリンゴ、そして精をつけるために肉、菜緒が食べたいと言うマグロにアボカドなど、結構沢山買ってしまった。
 マンションに帰って早速、リンゴを食べ易く切って皮を剥き、その一切れは卸し器で卸して子供用の器に入れてやった。
『リンゴを食べると熱が下がる』と昔から聞いていたので、これで取り敢えず熱だけでも早く下げて楽にしてやりたかった。
 それが効を奏したのか、夕方近くになると孫の熱は下がって来て、少しずつごそごそと活動を開始しはじめた。しかし菜緒の方は全く回復の兆しが見えなかった。結局その日も、そのまま置いて帰ることもできず、もう一晩泊まることにして、仕方なく私は次女に電話を入れた。そして翌日、私の代わりに来てくれるように頼んだ。それから眠れぬ夜を再び過ごして、翌朝私はまた、社長の奥さんに宛ててメールを打った。
『すみませんが、まだ熱が下がらないので、今日もう一日休ませて下さい。明日は下の娘が来てくれることになっているので、私は仕事に出るつもりです。よろしくお願いします』と。