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母から私 私から娘へと ~悲しみの連鎖~ (続)

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 翌日、約束通り私は出勤し仕事をしたが、私の机の上は書類と郵便物で山のようになっていた。その山を少しずつ切り崩しながら片付けつつも、菜緒のことが気になっていた。私が帰る時点ですでに、孫は随分元気になっていたが、菜緒はまだまだだった。――次女はちゃんと行ってくれただろうか……。
 その日菜緒は再度病院に行き、脳の検査MRIを受けることになっていた。
 酷い頭痛が続いていたからだったが、どうだったのだろう。

 その日の午後、ようやく菜緒から電話があった。
「今、検査が終わったからうちに帰るよ」
「検査の結果は?」
「蓄膿症の酷い状態になっているらしくって、暫くは安静が必要だって」
 なかなか安心できる状態にはならないようだ。その後、奈緒は手術の心配もしていたようだが、何とか無事回復し、約二週間近くかかったものの元気になった。
 今回のようなことが、これからもないとは言えない。その時私は菜緒の母親として、一体どれだけのことがしてやれるのだろうか……。
 自分が母親がいなくて淋しく感じた時、そして不安に思った時、「お母さんがいてくれたらなあ」と、何度思ったか知れない。菜緒が同じように思った時、私はできる限り応えてやりたい。今回のことでその想いをより一層深くした。

 実は、私が産んだ娘菜緒が男の子を産んだ時、母から私、私から娘へと続いて来た悲しみの連鎖が、もしかしたらこれでやっと途切れるかも知れない。そんな気がしてある意味ほっとしたのです。そしてこれから先、娘菜緒と孫との未来に素晴らしい人生が続くことを心から祈ると共に、まだもう少し続くであろう私自身の人生にも、幸せが待っていることを信じて、一歩一歩ゆっくりと階段を踏みしめて行こうと思うのです。人生という名の階段を――。