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母から私 私から娘へと ~悲しみの連鎖~ (続)

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 先日、菜緒と孫とが二人揃ってインフルエンザに罹ってしまった。看病の為に私が行こうと言うと、
「お母さんに移るといけないし、そうなると仕事も休ませることになって職場にも迷惑を掛けることになるから来なくていい」と菜緒が言う。
 次の日心配で電話すると、いかにも辛そうだったし、ちょうど仕事も休みの日だったので、取る物も取り敢えず、菜緒と孫とが食べられそうな食材を持って菜緒を訪ねることにした。
 以前父が亡くなったのを機に、少しでも子供たちの傍にいようとの思いから、田舎の家を処分して上京していたが、それでも菜緒の住むマンションまでは二時間近くかかった。
 着いてみると、菜緒はかなりぐったりとして辛そうにしていた。おそらく元気が出るような物も食べていないのだろうと思い、私は早速台所に立ち、持って来た食材を使って料理を作った。二人共が食べられるようにワンタンスープを先ず作って食べさせ、その後ロールキャベツと、少し回復した時のためにカレーライスを作り置きしておいた。
 その日の内に帰るつもりだったから、一人でも容易に食べられるようにご飯も余分に炊いておにぎりも作った。中に入れる具が何も見当たらなかったが、冷凍室にしらす干しがあったので、みじん切りにして混ぜ込んでやった。これをラップでくるんで冷蔵庫に入れて置けば、菜緒が食べたくなった時にレンジでチンだけすればすぐにでも食べられるから。
 久し振りに食べる私の料理に、菜緒は満足そうに美味しいと言ってくれた。そう言って食べてくれることが私にとっては幸せなことであった。
 私が自宅を出たのがすでに夕方近くだったので、食事が終わったのはもうかなり遅い時間になっていた。帰りの電車がなくなる前に帰るべきなのか、それとももう少し傍にいてやるべきなのか――迷ってる内にも時間はどんどん過ぎて行く。