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御主人様と御姉様と私

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靴下を脱いでいた御姉様は私のお尻を平手で叩いた。

「ひぐぅ!」

歯を食い縛って必死に耐えようとするも虚しく、意識が途絶えた。
気が付けばお腹の違和感が無くなっていた。

「ご、ごめ…んなさい…。やり過ぎちゃった……かな?」







・可愛い御姉様2


御姉様は震えながら私の顔を覗き込んでいた。

「そんなに怯えないで。私はいつでも貴女の側に居ますから」

意識も視界も不完全だけど、私は笑い掛けて頬を撫でてあげた。
御姉様は私に肩を貸して浴室まで運んでくれる。
椅子に腰掛けた私の全身にキスをしながら隈無く洗ってくれた。







・御姉様は心配性


御姉様はとても心配性。
先端が九本に分かれた鞭なんて殺傷能力としては力が分散するだけで非効率。
御姉様の場合それを巧みに操る姿はとても似合っているけれど。

私の躯を自由に使える時ですら痕の残る怪我をしないよう
気遣ってくれている事実が更に忠誠心を強く持てる要因でもある。







・信頼あってこそ


自己満足で好きに遊んで飽きたら壊す玩具としてではなく、
私という存在に不器用ながらも出来る限りの愛情を注いでくれている。

私が何をされても受け入れる事から、合法的に拉致監禁しているのと同じ。
そんな環境に置かれて自制出来るのはこの世に果たして何人居るんだろう。







・信頼あってこそ2


そんな数少ない存在である御姉様だからこそ、私は全てを受け入れられる。
幾多ものみみず腫れが私の生きている実感でもあるから。

御姉様はいつも私を責めた後は急に子供のように私に甘える。

きっと不安なんだ。
私を失うのも、自分の手で私を傷付けるのも。

「身も心も灰になるまで」







・甘い朝食


「御早う御座います。朝御飯出来ていますよ」

御姉様は血圧が低いのか寝起きが辛そう。
私は御口に運んで差し上げる。
目を瞑りながらもむぐむぐと食べ続け、暫くすると動きが止まった。
私は料理を口に含み、

「むぐっ!?」

お口に運んで差し上げた。
私の朝はキスでお腹一杯になる。







・ハンドル握ると


いつもは御主人様が送って下さるけれど最近は私が運転している。
目が冴えてきた御姉様に御化粧をして貰って眼鏡を掛けた。

助手席の窓を開け、御姉様が乗り込んだのを確認して閉める。
運転席に滑り込んでキーを回した。
ドルゥン!
一日の始まりだ。
重低音を轟かせて風になる。







・お仕事2


隣の席には長い黒髪が綺麗で背が高く格好いい先輩。
正面には栗色のショートボブが可愛い後輩が座っている。

先輩は基本的に露出の少ない服を着ているけれど、
時々お腹や腰がちらっと見えて目のやり場に困る。

「あおちゃん、これお願い」

書類の束に目を通す私を御姉様が見ていた。







・お仕事3


「あおちゃんっ」

強い口調の先輩。

「ここってどう判断したの?」

何で、どうして、冷静になって考えれば明らかに間違えだ。

「迷ったら聞いていいのよ。
手を煩わせるとか自分がやらなきゃとか、
いつもそんな感じだけど」

私は居場所を失うのが怖いから。
使えないって思われたくない。







・吉報?


先輩が作った企画書はいつも完璧だった。
確認が終わって御姉様の席まで持って行く。
上機嫌で私を迎えてくれた。
今日はお仕置きはないかな。

「ありがと。さっき彼から連絡があったわ。これから戻るそうよ」

御主人様が帰って来るらしい。

「了解です」

私は複雑な気分で席に戻った。







・私のお気に入り


久し振りに一人で帰る。

御姉様は空港へ御迎えに行くらしい。
私は先に帰って夕飯の仕度をする事にした。

久々のバイクは疾走感がたまらなく心地良い。
度の入っているゴーグルは少し値が張ったけれど、
使ってみると値段以上の満足感を覚える。







・スピード落とせ


「ふふ…」

いつもよりスピードを出して気を紛らわそうとしたけれど、
その子供染みた無駄な足掻きに自分で自分笑わずにはいられなかった。

約1ヶ月、御姉様の色に染まった私を御主人様はどう見るのか。

御姉様は切り替えが早い。
下手をすれば私はひとりぼっち…やだ、怖い。







・着信アリ


ヴヴヴ…

「ひっ!?」

驚いたけれどどう考えても携帯のバイブ。
私の馬鹿。
一瞬アクセルを回す腕が力む。
何をそんなに怯えているの?
蛇行気味になりながらも体勢を立て直した。

「はい、こちら葵」

相手が誰か解らない漠然とした不安を抱えながら、
ハンディフリーのマイクで応答した。







・命令


「私よ。まだ合流はしてないけれど、
家に着いたらペットらしく御主人様をお出迎えするのよ。いいわね?」

御姉様だった。
御主人様をあの格好で出迎えろと言う。

「っ…、かっ、畏まり…ました……」

一気に血の気が引いた。
そしてそれとほぼ同時に胸が高鳴る。
もう後戻りは出来ない。







・逃げられない


夕飯の仕度が終わると御姉様から再び連絡が入った。
念押しのつもりらしい。
私はもう逃げられない。

御姉様と御主人様に全てを捧げたから。
私は服を脱いでお風呂とお手洗いに行き、゛お出迎え゛の準備を済ませた。
携帯がワンコール分鳴る。
御姉様からの合図。私は玄関へ向かった。







・お帰りなさいませ


懐かしい香り。
御主人様が愛用するオードトワレは甘く香り立つと同時に、
私と御姉様を切なくさせる。

「いい子にしてた?」

優しい笑顔はそのままに、
私の首輪から伸びたリードを引きながら廊下を進む。

「わ、わぅ、かふっ…」

首とお腹が苦しい。
体を動かす度に全身から体液が滲む。







・絶対服従


「千鶴、君にもお仕置きが必要なようだね。葵をこんな姿にしてしまって」

御主人様は低い声で言う。
どこか楽しげで、どこか攻撃的な声色だ。

「そっ、そんな私はただ…っ!」

御主人様の手に御姉様は言葉を遮られた。
問答無用。
これが御主人様のやり方。
絶対服従。
これが私達の世界。







・恫喝


「葵、僕が居ない間何があったか言ってごらん?」

御主人様の言葉を聞いて御姉様の顔が一瞬青ざめる。

「私は…」

口を開いた瞬間御姉様が一歩前に出た。

「だっ、黙りなさい!」

御姉様の恫喝に私は思わず身を縮める。
御主人様はにこっと微笑んで鞭を手に取ると、容赦無く振り上げた。







・最後の抵抗


「ひぐぅっ!?」

御主人様の容赦無い一撃。

「今は葵と話しているの。黙っていてくれる?」

優しく微笑みつつも口元は獰猛な笑みを湛えていた。

「で、でも…」

激痛と恐怖に震えながら膝から崩れて尚、
口を挟まずにはいられない程私に喋って欲しく無いらしい。

「やっぱり躾が必要?」







・どうしたら


御主人様は御姉様に服を脱いで自ら手錠を着けるように命令した。
御姉様は俯きながらも従う。

「さて葵、質問に答えてくれるかい?」

御姉様が私を見詰めている。