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CROSS 第5話 『忘れてはならぬ戦い』

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 駆けつけた衛生兵は、山口の腕に点滴に似た薬品を刺す。この薬品のラベルには、『栄照る』と記されていた。
 しかし、山口はそのまま眠りについてしまった。佐世保は、山口が死んでしまったのかと勘違いしたようだが、すぐに眠っただけだと知り、拍子抜けしていた。

   ダダダダダダダダダダ!!!!!

 突然、連続した激しい銃声がした。その銃声で、山口は飛び起きたが、すぐに衛生兵に寝ているように言われた。
 ……だが、目の前で起きていることに、山口は寝ている場合ではないと感じたようだ。

 その目の前で起きていることとは……、捕虜の虐殺だった。何人かの兵士が、無抵抗でいる捕虜たちをドンドン撃ち殺していた……。撃っていない兵士もいたが、彼らはただ目を背けているだけだった。
 山口は、衛生兵の制止を振り切りながら起き上がろうとしていた。そのとき、佐世保を見た。彼女も目を背けていた……。

 衛生兵は腰から注射器を取り出し、起き上がろうと暴れる山口の首の後ろに刺した。ほぼ同時に、注射器から薬が体内に注入されていく。
 その途端、彼の身体は地面へと崩れ、眠ってしまった。彼が眠った後も、銃声は何度も鳴り響いていた……。