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最後の魔法使い 第六章 『決断』

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思い起こせば、学生時代から、キースはほかの生徒と違っていた。ほとんどの子供が学校を卒業できれば何でもいいと考えていた中、キースだけは習う呪文の一つ一つの意味や仕組みを詳しく知りたがった。上級生になるにつれて、キースだけが『地の魔法』の限界を疑問に思っていた。16歳の時、キースは教師だけが持てる古代魔法の本を盗んできて、「火」に関する魔法がないか探した。アレンも手伝ったが、そんな魔法はあるはずがなかった。「絶対にどこかにあるはずだ。」いくら教師がそんなわけがないと説得しても、キースは自分の目で確かめようとして聞かなかった。ついに最後の本を読み終わったとき、キースは悲しみにも怒りにも見える表情をして、黙って盗んできた本を元の場所に戻してきた。大丈夫か、と問いかけたアレンに、キースは驚くほど冷静な声で答えた。「ああ、平気さ。俺がいかにこの世でちっぽけな存在かって、身にしみたよ。結局俺にはどうすることもできないんだ。」その言葉の意味をアレンは未だに理解できていなかった。その後、キースはとり憑かれたように勉強して、その年の首席として学校を卒業した。ほどなくして、キースは何のためらいもなくロウア―ウェストから出て行って、再会したのが今日というわけなのだ。
夕食がすむと、アレンは焦げた薄パンを屑かごに投げ入れた。ジュダは明日のための薄パンをこしらえると、また書斎にこもった。鍋に大量に残ったスープを見て、半ば気落ちしながら、アレンは皿を片づけた。そして、このところ自分の眠り場所になっているソファに腰掛け、指に気を集中させた。小さな火が指先に灯った。手のひらに集中すると、大きめの炎が手を覆った。それは。火の大きさがコントロールできるようになった証拠だった。
 
まるまる二日間書斎にこもっていたジュダが、晴れ晴れとした顔で書斎の戸を開けた。手には先日アレンが買ってきたノートを持っていた。
「仕事終わったんですか。」アレンが尋ねた。