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最後の魔法使い 第六章 『決断』

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「ああ…そのつもりだったんだけど、ちょうどここに空きが出たから、移ったんだ。ここの親方とも知り合いだったしね。ところで、ここに何の用だったんだ?」
 そう言われて、アレンは自分の本当の目的を思い出した。ポケットからくしゃくしゃになってしまったメモを取り出すと、それを読み上げた。「『革表紙のノート5冊。』」
「それだけ?」
 アレンがうなずくと、キースは奥の部屋に消えて行った。数分後、重そうなノートを5冊抱えて、キースは戻ってきた。
「これ、お前が使うんじゃないよな?」台の上にノートを置きながら、キースが聞いた。
「まさか、違うよ。お世話になってる知り合いに頼まれたんだ。」アレンが答えた。「ただ、確認しろって書いてあるんだけど、何を確認すればいいのかわからないんだ。」
「…もしかしてだけど、お前の知り合いって、ジュダ・ジアーズ?」
 キースの口から思いもかけない人物の名前が挙がって、アレンは驚きのあまり、口をあんぐりと開けた。「何でわかったの?」
「前からちょくちょく来るんだよ。それで、いつもこのノートを買っていくんだ。中身っていうのはたぶん、刻印がちゃんと入ってるか、確かめたかったんだと思う。」