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最後の魔法使い 第六章 『決断』

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 その質問を聞いて、アレンはどう説明しようか戸惑った。一人で逃げている、自分が魔法使いだから、あれは火事じゃなくて、政府軍のしたことで、やつらは俺を狙っていて…。どれをとっても、話しづらいことだった。むやみに自分が魔法使いだと名乗ることが危険なことを、アレンはよくわかっていた。それでなくても、すでにディディーやジュダは知っていて、もし政府軍にここに居ることがばれてしまったら、危険が及ぶのは自分だけではないのだ。今は適当にごまかした方が自分のためだし、キースのためにもその方がいいだろう、とアレンは思った。
「俺の家族は無事だよ。俺は…その、働いてた工場が焼けちゃったから、どうせだったらこっちに来ようと思って…来たんだ。」
 さっと思い付いたもっともらしい『理由』だったが、完全な嘘ではなかった。実際、政府軍は何もかも焼きつくして行ってしまったのだから。
「そうか…。無事ならよかったけど、大変だったな。仕事見つかりそうか?お前今どこに住んでるんだ?」
「えーと…知り合いの家に居させてもらってるんだ。仕事は…探し中。そういえば、キースの家族はサウスに居るんだっけ?」
「え?あ、うん…そう、ちょっと前にみんな引っ越したんだ。ここの方が暮らしやすいだろ、ウェストと違って街が大きいからさ。」キースはマグの中に残ったリカーをぐっと飲み干した。
「そっか。」アレンはふと思い出し、キースに聞いた。「そう言えば、木工所で働いてるって言ってなかったか?」