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最後の魔法使い 第六章 『決断』

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第六章 『決断』

「ア…アレン?」
 キースはまじまじとアレンの顔を観察した。まるで目の前に居る少年が本当にアレンだと思えない、というように。それほど変わっただろうか、まぁ2年も会ってないから当然か、とアレンは思うことにした。キースの方は、以前と比べていくらかやせたようだ。
 学生の頃、アレンとキースは同じクラスで、いつも成績のトップ争いをしていた。古代魔法ではアレンは負け知らずだったが、現代魔法や読み書きなどはキースが勝つことが多かった。アレンの成績が良かったのは、今にしてみれば彼が特別に力が強かったからであって、決して成績が良くなるように努力したとか、そういうことは一切なかった。反対に、キースはとにかく頭がよかったし、さらなる向上のために勉強も欠かさなかった。学業ではライバルの二人だったが、それ以外では親友だった。二人でちょっとしたいたずらを仕掛けたり、学校で習った魔法を森のはずれで使ってみたりしたのだった。二年前にキースがロウア―ウエストを出たとき、アレンはひどく落ち込んだ。唯一無二の友人がいなくなるのはさびしかったし、ゲート・フォレスト(街と街の間にある森)は荒れ放題の森だったから、一度出て行ってしまうとなかなか戻ってこれないこともわかりきったことだった。
 アレンだと確信できたのか、キースはほっとした表情になった。近くの木箱を寄せるとそれに腰かけ、キースは改めてアレンと視線を合わせた。
「本当にお前なんだな!ウェストの方がひどい火事になったって聞いたから、心配してたんだ。」キースは力なくはは、と笑うと、リカーを一口飲んだ。「こっちに居るってことは、お前の家族も一緒なのか?」