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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【無幻真天楼第二部・第二回・弐】小さなこいの唄

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「大丈夫だ」
迦楼羅が烏倶婆迦にいうと烏倶婆迦がずっと鼻水を啜って頷いた
乾闥婆と烏倶婆迦を抱いた迦楼羅を近衛が取り囲む
「どけと言っているだろう」
迦楼羅の羽が更に大きくなり光も強くなった
「大切なものに害をなすもの…容赦はせん」
迦楼羅の周りに吹く風は強く暖かく乾闥婆と烏倶婆迦を守るようで
「去れ」
迦楼羅の言葉と共に辺りが金色に包まれた
眩しさに烏倶婆迦が顔を迦楼羅の胸に押し当てる
しばらくして迦楼羅が歩き出したのか振動が伝わってきた
顔をあげると見えたのは目を閉じたままの乾闥婆
そして見上げると迦楼羅の顔
「迦楼羅…おいちゃん歩けるよ」
「…そうか」
迦楼羅が烏倶婆迦を床におろす
何事もなかったかのように静かな宮の廊下
乾闥婆を抱き直した迦楼羅が乾闥婆の髪を撫でた
「乾闥婆…」
「大丈夫だ…近衛は全ての力を吸いはしない」
「…ごめんなさい」
烏倶婆迦がうつむいて謝ると大きな手が頭を撫でた
「会いたかったのだろう? 乾闥婆に」
迦楼羅がふっと笑って烏倶婆迦の頭から手を放した
「ワシの力をいいだけ吸ったからしばらく近衛はこないだろう」
「うん…」
烏倶婆迦が迦楼羅の服を掴んだ
「いくぞ」
迦楼羅が歩き出した