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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【無幻真天楼第二部・第二回・弐】小さなこいの唄

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目を開けたくても開けられない

でももしかしたら目は開いているのかもしれない

ただ回りが暗いだけなのかもしれない

体は軽く

そして重く

羽衣がないのにふわふわと浮いているような感覚

前にも似たような同じような感覚をしたことを思い出す

あの時

そう【自分】が【乾闥婆】になった時のこと

それまで持っていたものは全てなくしたはずなのに

ひとつだけ

ひとつだけ残っていた

なくせなかった

なくしたくなかった

自分の口元が微笑んだのがわかった

自分の罪

迦楼羅の罪そのものの自分がいなくなれば迦楼羅の罪が消えるのだろうか

自分を呼ぶ烏倶婆迦の声は聞こえなくなって

無音の世界

あの時少しだけ足を踏み入れた世界

本当ならばとっくにこの世界にいたはずの自分

あの時なくした【自分】

あの時うまれた【乾闥婆】

【自分】は誰?

【乾闥婆】?

それとも…

とおく おもいだす きおく